でっきぶらし(News Paper)

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165号(2005年05月)3ページ

クモザルのホープ引っ越しとその後

4月18日、園内の下の池の島にいる住人クモザルのオスが、一緒に暮らしていた妻子と離れ中型サル舎に転居しました。

これには理由があるのです。実はこのオス、子供が生後4、5ヶ月頃になり母親の周りをちょこまかと動き回るようになると、子供に興味を示してちょっかいを出し、それを嫌がるメスと子供の取り合いになるのです。

前回、親子3頭で暮らす姿がベストだと思い注意しながら見守っていたのですが、子供は生後10ヶ月も過ぎるとメスから遠く離れて遊ぶようになり、オスがそれにしつこくちょっかいを出し続けたので、子供は体力を消耗して死亡してしまいました。

そのこともあって、同じようなことが起きたらかわいそうなので、子供の命優先で子供が大きくなるまで今度はオスを別居させようと考えていました。

そう思いながら注意して様子を見ていると、オスがまた同じことをやり始めたので、やむなく麻酔をかけて捕獲し、別居させることになったのです。

さて、中型サル舎へ転居し生活をはじめた当初は、生まれてから10年間世話を受けた恩義を忘れず、
私や代番者が前を通過する度に気も狂わんばかりに喜び、遠くの物陰から私達が姿をそうものならいち早くその姿を見つけ甘えた声をかけてくれました。

が、転居して2ヶ月も過ぎるとその回数も目に見えて減り始め、最近では今の担当者が一番らしく、
私の姿を見て甘えた声で挨拶をしている時に今の担当者が来ると、とたんに「あんた、誰?」みたいな態度を私に取り始めるのです。

10年世話を受けた恩義を、たった2ヶ月で忘れはじめるとはあんまり薄情じゃないかいと思いますが、
オスの身になって思えば、飼育担当者も含めた新しい環境に早くも順応してきたということで、喜ぶべきなんでしょうね。

(池ヶ谷 正志)

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