でっきぶらし(News Paper)

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158号(2004年03月)3ページ

オランウータンの同居

 昨年10月にキャンディ(メス)が来園したオランウータン舎。11月よりおり越しの見合いを続け同居のタイミングを図ってきましたが、今年2月に移動によるストレスで止まっていた生理が回復、その後性周期も安定し、毎月定期的に生理がくるようになり、同居をしてみようという事になりました。

 同居への不安はありました。それまでジュン(オス)はキャンディに単なる隣の人に対する接し方をしていた感じでしたが、生理の回復と共に、キャンディがジュンの部屋側の檻に近づくと、檻の間より手を入れたり檻に体をぶつける感じで寄っていったりしました。その度にキャンディは怖がっていました。でもいずれ同居をさせなければキャンディを来園させた意味がありません。不安な事を考えたらきりがありませんが、キャンディが来園して半年、見合いを重ねて5ヶ月目の4月26日午後、不安の中同居を開始してみることにしました。
 
 両方の部屋のシュートの扉を上げるとジュンは一気に隣の部屋へ。キャンディは悲鳴をあげ逃げましたが、あえなくジュンに押さえつけられました。必死に泣きわめきながら抵抗しましたが、やはりオスの力にはかなわず、しばらく押さえつけられていました。

 ところが、押さえつけられもがいた拍子に、ジュンの爪が右腕の力瘤(上腕部)部分にかかり裂傷し出血しました。そしてその傷は思いのほか深く、この時オスの力の強さをまざまざと見せつけられました。同居によるリスクはどうしてもあるのでしょうが・・・。そう思いながら同居を続けました。2回目もまた押さえつけに行きました。キャンディは怖いということもありどうしても逃げてしまうため、ジュンは逃がすまいと押さえつけてしまう、このパターンのようでした。3回目、4回目も同じでした。
 
 ところが、3、4回目は押さえつけてもすぐに離れ、キャンディが部屋の隅に逃げると、にじり寄って近づきそっと優しく接するようになりました。するとキャンディは交尾に誘うような行動をとり始め、ジュンは陰部を覗いたり指で触ったりし、その後交尾へと進展しましたが、不完全なようでした。これはいい感じになってきたなと思っていた5回目の時、最初は同じパターンでキャンディを押さえつけに行きました。しかしこの際今度は以前とは逆の左腕を裂傷してしまい、その傷はかなり重く深刻な状態となったため、残念ながら同居より傷の回復を最優先する事になり同居は傷の回復待ちとなりました。

 傷が癒えて次回の同居の時は何とか最小限のケガでうまく同居ができるよう願ってやみません。

(池ヶ谷 正志)

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