でっきぶらし(News Paper)

一覧へ戻る

« 156号の8ページへ156号の10ページへ »

156号(2003年11月)9ページ

実習生だより 「動物園実習を終えて」

 静岡大学 教育学部 3年
生涯教育課程 国際理解教育専攻 小杉衣美

 動物園実習では学芸員として、普段体験できないようなことをたくさん体験させていただきました。私は動物が大好きで、日本平動物園には今まで何度も行った事があったのですが、実際に動物園の業務をお手伝いしてみると初めて見えてくる部分がたくさんあり、とても新鮮でした。また、説明をしていただいた事で、全く新しい日本平動物園というものを見ることができました。
 動物園での仕事はとても幅広く、事務の仕事、飼育の仕事、看板作り、ボランティアの仕事等どれも勉強になる事ばかりでした。私が実習に行った頃にちょうど行われていた「象の体重測定」や「アシカに魚のプレゼント」では、イベントをどう行うか、人々にどう参加させるか、面白くする工夫等を見ることができました。

衝撃的だったのが象の飼育実習で、私は象をあんなに近くで見て、しかも触ったのはもちろん初めてだったので、とても感動的でした。そしてこの飼育実習で象に対するイメージが変わりました。実際に一日、飼育のお手伝いさせていただいて初めてこのお仕事の大変さを体感する事ができました。飼育の仕事は朝早くから始まり、掃除や餌の準備、記録、診察などなど遅くまでやる事が目白押しで、本当にハードだと思いました。象の糞の掃除では、スコップで糞を持ち上げるのにも苦戦し、自分の力の無さを改めて感じました。この拾い集めた象の糞は肥料となり、希望者の市民に配っていると聞き、日本平動物園はエコ活動にも力を入れているのだということもわかりました。このように飼育の裏側を見る事で、動物と飼育員の方々との信頼関係というものを強く感じました。動物達は飼育員の方々のことをちゃんと理解し、接しているのだと知り、飼育というのは動物との関係を築いていく事が大切なのだと思いました。

 また、資料館の整理の作業も大変勉強になりました。何十個とある大小の卵がどの鳥のものか判らなくならないようにチェックしながら箱に詰めるという作業は大変でしたが、ダチョウやレアの卵の大きさに驚いたり、見た事もなかったスズメの小さい卵を割らないようにそっと指でつまんだりと、とても楽しい作業でした。動物の骨を包む作業は始めは少し怖いような感じがしましたが、すぐに慣れ、楽しんで作業する事ができました。資料を湿気や虫から守る工夫や資料の効果的な見せ方、割れないようにする包装の仕方等も学ぶ事ができました。

 ボランティアの仕事も様々で、ツアーガイド研修、ガイドボランティア活動、市民ワーキンググループ、ふれあいに参加させていただきました。ツアーガイド研修では、あんなにしっかりと資料を集めて、担当を決めているという事に驚きました。一人一人ちゃんと勉強しているからこそ、あのような楽しい説明をする事ができるのだと思いました。どの活動も学ぶところが多く、まさに生涯教育だと思いました。子供たちにこのような事を伝えていくのはとても意味のあることだと思います。

 施設面にもたくさんの工夫がありました。熱帯鳥類館や夜行性動物館、各々の檻には色々な仕掛けが施されていて、動物園は実はとても効率的に造られているという事がわかりました。また、夜行性動物館では、個人的に好きなスローロリスに数年ぶりに会う事ができて何とも言えぬ嬉しさがこみ上げてきました。
実習の後半は、看板作りに力を入れました。倉庫での作業はとても楽しく、様々な知識を得る事ができました。象の祖先であるパレオマストドンとマストドンは、まずその姿をインターネットや百科事典で探すという作業から始まり、多くの方々の手をお借りして、設置するまでに至りました。もう存在していない生き物なので自分の想像もかなり入ってしまいましたが、これが象の進化の学習の一部として役にたつといいなと思いました。

 この実習では、動物園の本当の姿を垣間見る事ができたと思います。動物園で見たもの全てが新鮮で、意外に思う事ばかりでした。また、事務所には日々鹿や鳥や犬等が次々と運ばれてくるのには驚きましたが、私は事務所のあの明るい雰囲気がとても好きでした。このような貴重な体験は他の博物館施設では絶対にできなかったと思います。本当に日本平動物園で実習をする事ができて良かったです。お忙しい中、10日間もの実習を受け入れて下さり、ありがとうございました。

« 156号の8ページへ156号の10ページへ »

一覧へ戻る

ページの先頭へ