でっきぶらし(News Paper)

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153号(2003年05月)4ページ

類人猿舎に心強い味方/池ヶ谷正志

長年の懸案であった類人猿舎のボイラー設備が、念願叶い昨年改設されました。旧型のボイラーは熱効率が悪く、おまけに毎年ひと冬の間に何回か故障をしては修理業者のお世話になるため、私達は冬の間ひやひやしながら過ごしていました。暖房がもし私達が帰ってすぐに停止してしまったなら一大事。類人猿にとって大げさに言うなら命取りになりかねません。それでなくても熱効率が悪いため、いくら設定温度を上げても舎内は底冷えをしてしまいました。そのためかチンパンジーは冬になると必ず風邪をひいていました。一頭が風邪をひくと1、2日のうちに全員に風邪が広まり、私達は朝夕の投薬に追われることになります。特に昨年は子供が3頭いたので、もしボイラーが停止したら・・・と思っていたところ、冬が来る前に新しいボイラーを設置できることになり、ひと安心。新しいボイラーはコンピューター制御で、体はふた回り程も小さいのに、作り出すエネルギーは昔のものと同等で、稼働中の騒音も小さいという優れもの。しかも、肝心の暖房機能はというと、旧型と比べると設定温度は同じなのに、熱効率は抜群に良く、底冷えも感じることはありません。例えば、古いボイラー稼働中の最低温度は7℃、新しいボイラーでは13℃と倍程も違う結果となりました。また、いつもチンパンジーが寝る台の上に温度計を置いて測定したところ、18〜20℃近い温度があることがわかりました。以前は冬の間、寝具として与えている麻袋を体にかけたり中にもぐりこんだりと、彼等なりに暖をとる工夫をしていましたが、今回の冬は、麻袋あまり保温用として利用しているようには見えませんでした。一番の効果は、毎年定期便のごとく風邪をひいていたチンパンジー達が、子供3頭を含め全員一度も風邪をひくことなく冬を乗り越えたことです。これには担当者をはじめ獣医さんも大喜び。今までの冬を考えると奇跡に近いことです。これもひとえに新しい設備のおかげだと思います。今年の冬も同じ様な結果が出ることを願ってやみません。

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