でっきぶらし(News Paper)

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34号(1983年07月)7ページ

動物病院だより

このところ出産の吉報が多く聞かれ、皆なんとなくウキウキ気分になっています。
6月中に、マレーバク、カルフォルニアアシカ、コンドル、マサイキリン、スナネズミ、レッサーパンダ、他にオシドリ、アメオシ、ツクシガモ、キンケイ、ギンケイ、ショウジョウトキなどが、生まれています。まさに、ベビーラッシュです。このうち残念ながらスナネズミ、レッサーパンダの赤ちゃんは死亡してしまいました。
特にレッサーパンダは、1980年9月に西安動物園より1番いただき、そのうちメスは、翌年8月1日に敗血症で死亡し、1982年10月にまたメス1頭を西安動物園よりいただいたいきさつがあります。同じ頃、京都市動物園もレッサーパンダをいただいており、先日出産したニュースを聞き、当園でも数?と願っていた矢先でした。
6月27日朝、赤ちゃんのなき声を聞き、その後は安静を保つために担当者以外は、獣舎に近寄らないようにしていました。そして、29日朝、『あれ、昨日は箱の中にいた母親が、今日はもう外に出ているよ。』と言っていました。様子がおかしいので、子の確認作業をしたところ、1頭はすでに死亡。残りの2頭も冷たくなっていたため、すぐに取り上げ温めましたが、2時間後に息をひきとりました。お腹の中を調べてみると、胃の中にはミルクは入っていませんでした。どうやら母親の乳の出方が良くなかったようです。
このように肉食獣の場合、出産時の環境がおちつかなかったりすると、子の面倒を見なかったり、咬み殺してしまうことがあるのです。その心配があって、出産後担当者以外は獣舎に近寄らないようにしていたのです。
担当者の話ですと、メス親は子を抱いて面倒をよくみていたそうですので、この次、乳が出てくれれば、成功するだろうと期待しています。
(八木智子)

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