でっきぶらし(News Paper)

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151号(2003年01月)3ページ

覚えている?  池ヶ谷正志

ハアーイ、オランウータンのメスの「ジュリー」でーす。ごぶさた、久々の登場、私が類人猿舎に住んでいること、忘れちゃった人もいるんじゃない?多摩動物公園より嫁入りしてもうじき2年、以前と変わらず、飼育係人の思うとおりには動かず、意地を張っていまーす!それでも新しい部屋に移り、少し気分転換できて、前の部屋の時よりは移動する回数もふえてきたけど、もう飽きたわ・・・、又居座りを始めるつもり。あの人は私が部屋を移るたびに、私との知恵比べに勝ったつもりでいるけれど、本当のことを言えば、あまり部屋を動かないでいると、私、自分のした糞やおしっこがたまって臭いがきつくて 目にくるの..。それで部屋を移っているだけなのに、あの人は天下を取ったように喜んで、可愛いもんよ。

 私の方があの人よりも20年も長く生きているのよ。そう簡単にホイホイ言う事をなんぞきくもんですか!しかし、まあ2年近くも私のこうかたくなな態度に、ぶち切れることもなく、(まあ内心はものすごくイラついているとは思うけど)いつも変わらぬ態度で接しているのは、あっぱれというほかないわね。しかし、あの人は気付いているかどうかは知らないけれど、私もかたく閉じた心の扉をほんの少し開けて心を許してきているのよ。

 石の上にも3年というじゃないの、あと少しこの生活に付き合ってほしいと思っていたら、そうはいかないみたい・・・あの人は花冷えがなくなる頃にはオスの「ジュン」と一緒に外に出したいみたい。不安がないと言えば嘘になるけど、ジュンさんは私と違って、素直ないい性格みたいだから(何故分かるかって?そりゃあ、あの人との関係を2年も見ていればねえ〜)この偏屈な私がうまく立ち回ることができれば、なんとかうまくいくと思うわよ。ジュンさん、一緒になった時には、ひろーい心で受けとめてお願い!

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