でっきぶらし(News Paper)

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150号(2002年11月)7ページ

動物園での実習を終えて  学芸員実習生 鈴木康介

私が、動物園で実習したいと思ったのは、自然環境や野生生物に興味はあったのですが、少ない知識や理解は本やテレビからのもので、実際に動物の傍で得たものはあまりなかったので、それを補え、また動物観察ができるのではないかと考えたからでした。このように、漠然とした動機で、個人的な生涯学習と言えば聞こえが良いですが、要するに「来園者」でしたから、あっという間の11日間でありました。
 動物園ファン感謝デーの準備から始まり、象のパネルに何日もかかり、挙句の果てに散々な象が出来てしまいました。個人的には、楽しい期間でしたが、職員の方々には、とてもご迷惑をお掛けして、すいませんでした。

 私にとっての実習は、ほとんど園内の観察や倉庫での工作でした。中でも、象は飼育実習も1日やらせていただけました。猛暑の中、朝7時45分からアクシスジカ、フライングゲージの餌を用意し、餌やり、掃除、次に、猛獣舎の掃除などを毎日やられている飼育の方々の苦労に触れることが出来ました。また、野生生物を扱っているということで衛生状態、食料などは毎日気を付けなければならないということも、教えられました。ですから、休館日の月曜日にも飼育の仕事には休みがありません。また、休館日には、動物達は開館日に見せる表情とは別の表情を見せます。一般の入園者では見られないことや、動物の宿舎に入ることが出来、とても貴重な経験が出来たことに、何か優越感のようなものを感じると共に、緊張感もあり、いい思い出になりました。また、倉庫では、様々な機械を使わせていただき、子供の様にワクワクした楽しい時間を過ごすことが出来ました。

 動物園では、日頃から来園者を楽しませるためのイベントも行われていました。ゾウと水遊びや、シロクマに氷のプレゼントなどがありました。これらは、動物の夏バテ対策の部分もあり、イベント的な部分との均衡が取れていて、おもしろい企画だと思いました。
 また、夜の動物園という大変魅力のある企画にも参加させていただけました。特に、ライオン、アムールトラなどは夜行性の動物で、昼間はあまり動きがありません。しかし、このイベントでライオンの宿舎の横に行ったとき、間近で見たせいもあると思いますが、普段よりも大きく見え、目は鋭く獲物を見るようで、物凄い迫力があり、身震いのする思いと、この瞬間を享受できる喜びや、興奮からとても思い出に残る瞬間でした。

 また、今回の実習を通して、動物園の役割も時代とともに変化し、現在では野生生物種の保護の役割もあるということも知りました。自然環境が昔とは大きく異なる中で、野生では生きていくことのできない状況になってしまった生物の保護は、人間にしかできないのかも知れません。そういう状況にある今、動物園の役割は大きいと感じました。しかし、効率化や採算性は公立の機関にも求められる社会の動きの中で、本来の動物園の役割との両方を満たしていくことの大変さを、少しながら感じました。

 最後になりますが、職員の方々は皆様とても人が善く、何かにつけて助けていただきました。短い期間でしたが、本当にありがとうございました。

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