でっきぶらし(News Paper)

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150号(2002年11月)4ページ

糞  闘  中   飼育課  川村敏朗

動物の健康状態を知るには、一つ目、食欲(いつものように採食しているか、餌は残していなか。)二つ目、排便(ウンチが出ているか、下利便はしていないか、鮮血はないか。)三つ目、動作(いつも通りの動きをしているか、動作は鈍くないか、足は引きずっていないか、反応は悪くないか、身体に出血痕があるかどうか。)四つ目に、身体の艶(体毛が汚れていないか、痩せていないか、太りすぎていないか、体毛を膨らませていないか。などを飼育係は毎日観察しています。いずれも普段の観察がなければ分からないことです。人間の赤ちゃん、成人の方でも健康状態を知る上では共通していることと思います。

 今日のお話は、二つ目のウンチのことです。生物はみな、生きていくには食物を食べ消化をして排出します。動物園に来られたお客様は、時折獣舎の中に排泄物を見ることがあると思います。コロコロウンチ、かわいいウンチ、でっけえウンチ、いかにも汚ねえウンチ、つややかなウンチなど。ウンチは臭いがあり汚いものですが、元気に生きている証でもあります。

 動物園では、このウンチをどうして処分しているのか疑問に思われた方はいませんでしょうか。お客様にとって大して気にかける問題ではないでしょうが、生き物を飼育している動物園にとっては、とても重要な仕事の一つです。

 「ゆりかごから墓場まで」自分たちの仕事に責任を得るため、ウンチは動物園が開園する前に人目につかないように飼育職員が車で運搬しています。一年間に排出されるウンチの量は約200トン、人目につかない動物園の奥にある高速発酵装置で48時間の熱処理を加え出来上がった堆肥年間約50トン、すさまじいほどの量になります。この堆肥をいつまでも園内に収容しておくわけにはいきません。処分する方法は、農家の申し込みにより週ごとに割り振り動物園に取りに来てもらいます。スムーズに申し込みがあり搬出できている時は問題ありませんが、農家の繁忙期の時は申し込みが無く処分できなくなりどんどんたまってきてしまいます。そこでこちらから農家の方に電話をし、強引にお願いして搬出しています。忙しい中、快く?取りに来て下さる農家の皆様には感謝しております。

 堆肥を撒いた畑では、化学肥料に比べ雲泥の差がつくほど青々しく美味しい野菜が取れるそうです。自然から生まれた、食物が形を変え、また自然に帰って行(生)きます。

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