でっきぶらし(News Paper)

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36号(1983年11月)2ページ

「野鳥だより」カワセミの繁殖 渡辺明夫

数年前より、動物園内にある2つの水禽池で、カワセミの姿を見かけるようになりました。水禽池に生息しているモロコ等の小魚を食べにやってくるのです。以前には、その美しい姿を時々見かける程度でしたが、昨年からは見かける回数も多くなってきて、今年の4月頃より2羽でいるのが多く、望遠鏡で観察したところ、ペアであることが確認されました。
カワセミのオスは、上面のブルーと下面のオレンジ色が鮮やかで、嘴が上下共黒くなっています。これに対してメスは、オスと色彩はほとんど同じですが、鮮やかさがやや乏しく、下嘴の中ほどから口元にかけて赤褐色になっています。繁殖期に入っている為に、秋から冬に見かける時より一段ときれいに見えます。
観察を続けたところ、5月下旬頃から交尾行動や餌のやり取りが見られるようになりました。何日か、そのようなディスプレイが続きましたが、その後しだいに1羽だけしか見る事ができませんでした。きっと、どこかで営巣をし、卵を抱いているのではないかと期待をふくらませて観察を続けていました。営巣していれば、そろそろ孵化し、餌取りに来るだろうという時期になっても、ペアで姿を見せません。この池の近くでは営巣していないのか、あるいは繁殖そのものをしなかったのかと思っていましたが、その内に2羽で飛来するようになり、またディスプレイや交尾行動をとるようになりました。何かのアクシデントにより、繁殖活動が中断されたのでしょうか。
前回と同じように、しばらくすると姿を見せる機会が減ってきて、オスだけ時々見かけるだけとなりました。そのような状態が何日か続きましたが、7月中旬になるとオスの飛来回数が多くなってきました。双眼鏡でよく見ますと、小魚をくわえて餌運びをしていたのです。いつも小魚をくわえ一定の方向に飛んで行くので、繁殖しているのはまちがいないと考え、餌場と飛んで行く方向とにふたてに分かれて営巣地の確認に務めました。トランシーバーで連絡をとりあいながら除々に的を絞っていき、とうとう巣穴を見つけることができました。巣穴は、水禽池より約500m離れた谷川の崖地で、この距離を親鳥は、毎日小魚をつかまえては、何往復も雛のところに餌運びをしていたのです。中からは、雛の元気ななき声が聞こえてきました。
さて、次の心配は無事に巣立ってくれるかということです。前回のこともありますので、今度こそと期待していましたが、メスの姿を見かけないのが、ちょっと気がかりでした。。しかし、何日かたったある日、いつもペアで飛来する止まり木付近に、親鳥と一緒にいる幼鳥3羽を認めました。無事に巣立ったのです。巣穴より飛び出し、この池まで親に導かれて来たのでしょう。まだ地味は灰色ですが、親鳥が近づくを首を上下に振り、給餌を受けているほほえましい姿が見られました。
来年も、この池をホームグランドにして繁殖して欲しいものです。

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