でっきぶらし(News Paper)

一覧へ戻る

30号の2ページへ »

30号(1982年11月)1ページ

実習後記 東京農業大学 畜産学科 井上 一

動物園で実習を始めた動機は、とても単純なもので家畜以外の動物を扱ってみたいと思ったからだ。大学の性格上、野生動物を扱うことはほとんどない為、最初は、野生動物の飼育を通して家畜というものを知ろうとか何とか大義名分めいたことを言いつつ実習を行なってみた。
もともと家畜よりも、野生動物に関心があった僕なのでしだいに野生動物そのものに興味がわいてきた。
実習をして家に帰り、その日の実習内容をレポートにして提出する。レポートの内容にしても、どちらかと言えば、家畜に関することを書くとは限らず、動物園の果たす社会的な役割について自分なりに考えたことを書いてみたりして、内容も多方面に渡った。
実習を始める以前に僕が持っていた動物園に対するイメージは、動物を展示する博物館と考えていた。しかし「一日飼育教室」で友の会の人達が親子そろって動物の世話をする光景をみると、何か動物園のもつ別の役割を感じさせられる気がした。
私が実習させて頂いた爬虫類館は、ちょっとした山の頂上にある。実習期間中御世話になった後藤飼育課員の話によれば、山頂をなでるように吹く風の影響で夏期は、下界に比べて気温が低いそうだ。
実習を通し、大学の授業としての実習では経験できない具体的な事についても学ぶことができ、ふだん家畜しか触れたことのない僕にとっては、爬虫類相手でかなりとまどうこともあった。しかし結果的には、違った種類の動物に接することによって家畜と野生動物の違いや家畜の果たす役割についても考えることができた。そしてそれ以上に印象に残ったことは、実際に貴重な動物に触れることを許して頂いて観察できたことだった。
わずか2週間ではあったが、貴重な体験をさせて頂き、指導して下さった職員の皆さんにはとても感謝している。

30号の2ページへ »

一覧へ戻る

ページの先頭へ