でっきぶらし(News Paper)

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105号(1995年05月)6ページ

出産ふ化 それぞれの事情 「ジェフロイクモザル」

(父親の強引な育児参加で・・・)
 ムクと名付けられた(6月9日に生まれたので)子が人工哺育されたのは、もう何年前になるのでしょうか。その時も相当の年齢になっていて、誰しももう生まないと思っていたのではないでしょうか。
 そんな思いをせせら笑うかのように、クモザル出産の報が飛び込んできました。しかも、今度は母親がしっかり面倒をみているとの朗報付きです。
 かつてのダイアナモンキーの例といい、動物の場合は相当の老齢になっても子を生み続けるようです。ひとつの要因として、飼育下における安定した食料の供給を挙げてもいいかもしれません。
 ところで南アメリカに棲むサルは、アフリカやアジアに棲むサルとはちょっと違う習性を持っています。父親の積極的な育児参加です。マーモセット類が最も顕著で、オマキザル類もその傾向が見られます。クモザルにもあるそうです。
 それで納得です。実は前回の人工哺育も父親の強引な子さらいが原因で、今回も途中で同様なことが起き、担当者から獣医まで含め、てんやわんやの騒動となりました。
 スムースな移行なら何ら問題はありません。夫助w随と和やかに笑って見ていられます。しかし、現実にやったことは母親に咬みついて手傷を負わせての強引な奪い取りです。習性が歪んだ形で表れた、と言えるでしょうか。
 せっかく母親が育てているのにわざわざ人工哺育にする理由なんてありません。取るべき方法はただひとつ、父親から子を奪い返し、母親に戻すことです。それが最善の方法です。
 父親はどうする?そう、そんな乱暴を働いたのですから、もう同居を許す訳にはゆきません。速やかにお引取りを願うしかないでしょう。懲罰って訳ではありませんが、今は動物病院でひとり暮らしです。

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