でっきぶらし(News Paper)

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114号(1996年11月)7ページ

動物を知る(?V)捕獲◎尻尾のない哀れさ

 中型のサルと違って、小型サルの場合は捕まえるのにはスピードが要求されます。実に素早い動きです。300からせいぜい400g余りのサルが本気で縦横に走り出したら、正に眼に止まりません。
 彼らの動きに合わせてしまうと捕らえるのはまず無理です。では、どうするのかと言えば、サッカーでボールを追う感じに似ているでしょうか。
 ボールの行く方向へ行く方向へ動くのは素人だそうです。熟練してくるとボールの次の行き先を読み、そちらの方向に動くそうです。
 小型サルを捕らえる場合とそっくりです。最初は好きに逃げさせます。三度、四度と逃げ回るうちに動きのパターンが見えてくればチャンス、捕獲網で逃げてくるところで待ち構えるのです。それですんなり“御用”です。
 そんな心構えの全く要らないサルがいました。ムネアカタマリンです。生まれて間もなく親に尾を食べられて、尾なしになっていたのです。
 ふだんの動きにはそんな不自由さは見えなかったのですが、いざ捕まえる段になると全く違ってきました。尾のない哀れさが身に染みました。
 地上から木、壁、更に地上へ飛び降りたところでスッテンコロリ、体のバランスが保てず、ひっくり返ってしまったのです。尾のない切なさをさらけ出してしまいました。
 尾は大事なバランス機関です。それ以外にも意思表示や危険信号としての役割もありますが、とにかく平衡感覚を保つのになくてはならぬものです。
 親が尾を食べてしまう理由、動機は多分にストレスにあるといわれています。親が一度癖になってしまうとまず治りません。
 捕獲する際に図らずも知った尻尾の大事さとなくした切なさ、動物と直接ぶっつかると思い知ることがいろいろあるものです。
(松下憲行)

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