でっきぶらし(News Paper)

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111号(1996年05月)7ページ

動物の仕草・動作あれこれ(?W)食事の光景 「フンボルトペンギン、換

 魚を丸飲みにして食べる“仕草”を見せる点では、アシカとペンギンは共通しています。が、彼らは全く違う動物です。そう、アシカは哺乳類で、ペンギンはタマゴからかえる動物、すなわち鳥類です。
 ペンギンの人気がどこにあるかといえば、それは陸を歩く“動作”にあります。二本足でよちよち歩く姿はなんとも愛らしく、人間臭さをどことなく漂わせます。
 ペンギンが鳥なのは当たり前の話ですが、実際にそれを話すと驚かれるお客様が時々おられます。空を飛ばずに泳ぐ、陸上を二本足でヒトの直立姿勢と同じ姿勢で歩くなど、おおよそ鳥らしくない雰囲気に惑わされるのでしょう。産卵とか換羽とかの話をすると、予想外に「ええっ」との声が返ってきたりするのです。
 換羽が一気にくるのも、ペンギンの特窒ニいえばいえるでしょうか。年に一度、夏場にかかる頃に2、3週間で羽根が生え換わります。見事に衣替えする感じです。
 ただその過程の見苦しさ、息をはあはあさせる苦しそうな“仕草”は度々お客様を誤解させています。「ペンギン、羽根がぼろぼろで苦しそうにしています。なんとかしてあげてください。」というような苦情が、時々事務所に入ることがあるようです。
 見慣れた私達には、毎年の恒例行事みたいなものですが、何も知らないまま来られたお客様には、皮膚病か、何か変な病気にかかっているように思えるのでしょう。それぐらい、羽根は一気に抜けて生え換わります。
 でも、換羽前の動作、これはとび抜けて生き生きとしています。換羽にはものすごいエネルギーを必要とし、したがって直前の食欲の示し方も途方もなく旺盛になるのです。扉がコトッと音がすると十数羽のペンギンは池の中でしぶきを上げる勢いで待ち構えています。食べる量は、通常の二倍以上に達します。

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