でっきぶらし(News Paper)

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143号(2001年09月)6ページ

動物園実習を終えて 岐阜大学農学部獣医学科 道越 小雪

私は七月十二日から二十日まで、日本平動物園で実習をさせていただきました。実習中はすること全てが新鮮でアッと言う間に九日間が過ぎてしまいました。
 その中で、特に心に残った出来事がありました。それは、チンパンジーの出産です。分娩そのものを見学することは出来ませんでしたが、あの部屋の臭い、雰囲気は、本やテレビでは感じることの出来ないものだったと思います。
 飼育係の皆さんと、お話しできたことも、本当に良い経験となりました。チンパンジーの赤ちゃんを見に行った時、いきなり来た変なヤツ(私)にお母さんチンパンジーは、怒り、興奮しました。飼育係の方に「いきなり知らない人が来れば、そりゃびっくりするさ」と言われ、自分が出産直後のお母さんチンパンジーの気持ちを何も考えていなかったことに気付き、恥ずかしくなりました。この時までは、今まで遠足で動物園に来ていたときと同じように、「こんな動物がいるんだなー。めずらしいなー。かわいいなー。」という風にしか動物園の動物達を見ることが出来なかったからです。
 「動物園の動物一匹一匹に心があり、生きているんだ」という、この当たり前の事に気付くことができたのが、動物園実習での私の最大の収穫だったと思います。
  病院にいたニホンカモシカの仔のムーちゃんは、甘えん坊です。ミルクをあげて部屋から出ていこうとすると「一緒に出る〜」と言っているように私のあとについて来てしまいます。カンムリカイツブリさんは掃除に行くと、デッキブラシをつつきに来ます。私が掃除をすると要領が悪い上、水をかけられてしまうので「おまえ、じゃまだー」と言っていたかのようでした。ゾウのシャンティは水浴びがきらいで、いつも飼育係の人に怒られていました。「頭まで入って!」と言われても、頭のてっぺんは、ぬらさないで出てきてしまいます。ささやかな抵抗だったのでしょうか。
 動物の個性が見えてくると動物園がとっても楽しく思えてきます。一般の方々にも同様の機会がたくさん与えられれば良いなと思いました。
 日本平動物園のみなさん、本当にお世話になりました。ありがとうございました。

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