でっきぶらし(News Paper)

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124号(1998年07月)4ページ

あらかると 「カリフォルニアアシカの人工哺育」

 カリフォルニアアシカのグリアン(オス)とミディ(メス)の夫婦の間に6月9日、オスの子(名前:バジル)が生まれました。体重は8.7kgととても元気で、6月10日には授乳も確認され、ひと安心。その後順調に授乳も続き、お母さんの子に対する面倒見も良く、いつも子の近くにいて、オスが子に近づこうとすると攻撃して追い浮、ほどでした。そして、生まれてから約1ヶ月後の7月6日に体重測定をしたところ、14.1kgと順調に増えてゆきました。
 ところが7月28日頃から、お母さんの様子が今までと違ってきました。子が近づいても離れてゆき、かえって雄親の方にいき、一緒に泳いでいることが多くなりました。それとともに子の授乳が確認できなくなっていきました。7月29日に体重測定をしたところ、12.3kgと約20日に2kgの減となり、昼間寝ていることが多くなってきました。
 その後、子の様子を注意深く見ていましたが、お母さんが子に近づくことがほとんど見られないため、8月2日人工哺育に切り替えました。体重は10.7kgとさらに減量、そこですぐに哺乳を開始しました。途中からの切り替えなので強制的に口に棒をかませ、カテーテルというゴム管で口から入れて胃までミルクを流し込むのです。そんな方法ですから、アシカは非常にいやがり抵抗します。それでもミルクを飲ませなければ子は死亡してしまうため、3人がかりで体をおさえての哺乳です。その日は11時、夕方4時30分に哺乳を行ないました。
 2日目は朝8時にカテーテルによる強制哺乳を行ないましたが、夕方ためしに哺乳ビンでミルクを与えてみましたが、いやがって飲もうとせず、かえってミルクが床にこぼれてしまいました。ところが、床にこぼれたミルクを子が吸いだしたのです。そこで、ためしにとバットにミルクを入れて子の口元に持っていったところ、自分でミルクを吸いだしたのです。
 それからはバットの中にミルクを入れ、1日3回の哺乳が始まりました。生後3ヶ月目に入る9月13日には、1日ミルク(エスビーラック)を1500cc、アジのミンチ340gを一緒に飲み、体重も14kgと増え始めました。これでなんとか一安心、心早く、アシカプールに戻る日がくるといいと思う毎日です。
(小島昭一)

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