でっきぶらし(News Paper)

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129号(1999年05月)10ページ

友の会コーナー 「キリン」1日飼育係

井上真由美 
 1日飼育係でキリン担当となり、思ったことは2つ。動物園のシンボルもある、うるんだ瞳のキリンでラッキー!そして体が大きい分、エサの量だの掃除だの大変では?
 期待と不安を胸にキリン舎へ。
 「驚くから、そっと静かに・・・。」担当者の声に『やさしく繊細』という私の抱くイメージそのものなのか・・・と少しばかり緊張しつつ足を唐ン入れる。
 まずは掃除。散らばったフンやエサの葉っぱをかき集める。フンはうちで飼っていたハムスターの特大版。野菜たっぷりの草食動物なのにポロポロうんち?いやいや、人間と一緒にしちゃいけない。ポロポロうんちの動物って、結構いるはず・・・と一人で勝手に納得。
 理想的なキリンの部屋は、平らにならした地面の上にほんのちょっぴり、ふわふわのをかけた感じと聞いて、“うん、それって気持ちよさそう。決まった場所で排泄してくれたらもっといい。”なんて思ったが、そうなると『ペット』化しちゃって、本来のキリンではなくなってしまう。
 次にエサの準備。何年前だったか、福岡市動物園の常連だった頃、キリンが急死。後日その原因はビニール袋を食べていた・・・ということがあり、口に入れるものには気を使うが、本職の方は金属などが混ざっていないか手早くチェックされており、さすがプロだと感心。
 エサ箱がセットされる頃には、キリンたちはそわそわ。なるべく刺激しないよう、かくれるように作業していた午前中とはうってかわって、まじまじとキリンを見つめてしまう。いつもなら“毎度おなじみの”キリンなのだが、間近で見ると、生々しく呼吸しているまさしく野生動物。こんなに大きくてきれいな生物が、地球上に存在するのだと思うと不思議な気持ちだ。
 そうこうしているまに、1日はアッという間に終わってしまった。お客として来ていたのでは気づかない、色んな仕事や苦労があるんだなあ、今日1日、果たしてお役に立ってたのか(かなり足をひっぱっていたような気もするが)作業の合間にお聞きしたうちわ話もとても興味深かった。
 最後になってしまったが、お世話になった方々、貴重な体験をさせていただき、本当にありがとうございました。何年か後の2世の誕生、キリンのように首を長くして楽しみに待っていますね。

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