でっきぶらし(News Paper)

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129号(1999年05月)9ページ

病院だより「君たちへのメッセージ」

 入院室のドアを開けると、右側に世代交代を理解できない問題児ブラッザグエノンの親子(老いては子に従え、姑は若い者の世話を焼かないこと)。その上段には殆ど顔を見せないオオガラゴたち(たまには顔を見せないと忘れられちゃうぞ)、一歩進んで左側には故ダチョウのおかあさん(年には勝てないけど頑張ったネ。動物にも介護保険制度があったらいいですネ)。その後ろには故コブハクチョウのおばあさん(人間だったらきんさんぎんさんかもしれなかったネ)、そして一歩進んで右側には、ぬいぐるみの肌触りのブチクスクスのおとうさん(もう少しで手乗りになってしまうところでした)。その隣には上野動物園に嫁入りしたツチブタのジョイさん(君の寝姿をダンナに見られたら追い出されちゃうから気をつけろ!)、そして向かいには風来坊のカメ軍団と、鳴き声では病院一迫力のコバタンのルルちゃん(君の声が泥棒よけには最適さ)。
 奥のドアを開けると未だ姿を見たことのないムササビのムーちゃん(毎日の餌がなくなるというのは元気の印)、向かいには愛嬌もののプレーリードッグとフェレット君(フェレット4兄弟は集団上京)、一番奥には孤独感を愛するタヌキ兄弟(今頃は山奥で幸せな家庭を築いていることでしょう)。
 検疫室に入ると、小心者の故シロカケイ、ターバンが似合ったリスザル君(東京暮らしは慣れたかな?)、笑うセールスマンのワライカワセミ、福岡市動物園から嫁入りしたアムールトラ(女は愛嬌が一番ですネ)。
 そして隣の部屋には山梨で保護され、当園にやってきたアナグマの兄弟(いつも眠ってばっかり)。
 そして最後に目が不自由だけど、人の言語を理解してくれるニホンカモシカのオーイ君(上目づかいがちょっと気になる君の目線)。
 まあいつもにぎやかなミニ動物園の病院です。
(海野隆至)

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