でっきぶらし(News Paper)

一覧へ戻る

« 286号の6ページへ

286号(2026年06月)7ページ

前にどんなことがあったかな?

みなさま、こんにちは。突然ですが、日記を書いたことはありますか?私が通っていた小学校では、毎日日記を書くことが唯一の宿題としてでていましたが、社会人になった今では日記を書かなくなってしまいました。私はまめったくないので続きません…。

さて、動物園と日記、なんの関係があるの?と思ったでしょうか。実は、飼育員が担当の動物たちの様子を毎日記録をしてくれて、飼育日誌というのを作成してくれています。獣医師は飼育員が作ってくれたその日誌をつかって、獣医日誌として園内にいるすべての動物たちの様子を一目でみられるようにまとめあげています。今回は筆者が動物園にきてから印象に残った過去の記録を紹介いたします。

「朝、出舎前左前足に擦り傷あり。」シロサイのタロウの左前足に擦り傷ができてしまったことがありました。当時の飼育員が好物のヘイキューブやふすまを使ってうまくタロウを誘導して、獣医が処置しやすいようにしてくれました。通常、獣医は治療をする人なので、動物にとっては痛いこと・嫌なことをする人だ、と警戒されることが多いのですが、タロウは人に慣れているため、近くに寄ってきてくれることがほとんどでした。そのため治療のハードルがあまり高くなかった覚えがあります。傷口を洗浄・消毒したり、ときには薬をふすまに混ぜて与えたりしました。しかし薬をあげてもおいしくないのか、乾草やふすまなどの餌を残してしまうこともありました。そこで飼育員と話し合い、傷口の様子を見つつ薬の処方をやめて洗浄と消毒に力を入れることにしました。タロウと飼育員の協力のもと、根気強く治療を続けられたため、現在はすっかり傷もよくなりました。動物園に来てまもないころにたくさん関わったタロウは、今でも会いに行くと近寄ってきてくれるため、私の癒しになっております。いつもありがとうね。

「嘴(くちばし)削る。」以前インコ舎にいたキビタイボウシインコのムーディーが、病院に入院しています。ムーディーはもともと嘴が曲がってしまっており、採食が落ちないように定期的に削っています。そろそろ削り時かな?と飼育員と話をして、いざ捕獲です(飼育員が嫌われてしまうと日々の業務に支障がでるので自分が捕獲しました)。捕獲したら鎮静をかけて、様子をみながらボルダーエンジンという機械で少しずつ削っていきます。処置を終えて、ムーディーが鎮静から覚めて一言「う゛お゛お゛お」と聞いたことのない野太い声が響き渡りました。がんばったね。私が動物園に来る前からすでに何回か同じような処置を、行っているため、様子を見にいくと逃げていくようになりました…とほほ。ともあれ処置の甲斐あって、飼育員によると元気にごはんを食べているとのことでした。よかったよかった。

このように獣医師は日々いろんな処置や治療の記録をしています。ある動物に体調不良があったときは、過去の日誌を参考にして薬を処方したり治療にあたっています。わからないことが多いこの動物園界隈では、とても貴重な資料になります。日誌を見返していると、そういえばこんなことあったな、そんなこともあったのか!というような発見もあって大変勉強になります。みなさんもかけがえのない毎日を書き留めてみませんか?

(松永)

« 286号の6ページへ

一覧へ戻る

ページの先頭へ