286号(2026年06月)3ページ
ダチョウの鳴き声
みなさんはダチョウの鳴き声を聞いたことがありますか?当園のクランキー(オス、14歳)は、休園日によく鳴くのでお客様にとってはあまりイメージがないかもしれません。また、クランキーは人が近くに来ると鳴くのをやめてしまうため、鳴き声は聞こえても、鳴いている姿を見たことがある人は職員でも稀ではないでしょうか。
ダチョウは普段はとても静かな鳥ですが、休園日にクランキーが出す鳴き声はオスの雄叫び(テリトリーコール)とも呼ばれ、オス同士のメスをめぐる争いに勝った時やメスへの求愛時にも使われる鳴き声のようです。鳴き声を文字で表すなら「ウー、ウー、ウゥーーー!」という感じで、これを3~5回繰り返します(文献によっては「ブフォー」とか「ボー」とも表現されています)。壺の中に向かって低い声で「ウー」と言った時のような、少しこもったような音で、でも遠くまで響く不思議な鳴き声なのです。
また衝撃的なのはその鳴いている時の姿です。オスがテリトリーコールをする時、細長い首を普段の2倍ほどの太さにまで膨らませてあの独特の音を出しているのです。私も生で見たのは数回だけですが、普段とあまりに違う見た目のアンバランスさは、初めて見たら「えー!?」と笑ってしまいそうになるほどで、一度見たら忘れられないことでしょう。過去にも映像に収めようと挑戦してきましたが、いつ鳴くかわからず、「鳴いた!」と思って駆けつけても20秒ほどで鳴き終わってしまうので間に合わず(私を見つけると鳴くのをやめて求愛ダンスを始めてしまうし)、遠くから撮影できてもカメラの画質が悪いし…。まともな資料映像が少ないので、最近は休園日に私物の4Kビデオカメラをセットして撮影を試みています。上手く撮影出来たらみなさんにもお見せしたいと思います(早く見たい方は、インターネットで「ダチョウ 鳴き声」と検索すると色々な映像が出てきます)。
ちなみにクランキーは口を開けて「シャー!」「ハー!」といった声を出すこともありますが、そのような時は背伸びをし翼を広げて自分を大きく見せようとしていることから、どちらかと言うと威嚇・敵対ではないかと思います。あなたのことをオスのライバルだと思い、追い払おうとしているのかもしれません。ダチョウは脳みそが小さいとか記憶力が悪いとか、あまり賢くないイメージで語られることが多いですが、少なくともクランキーは近くを通る人を見て、求愛ダンスをすべき相手なのか威嚇をすべき相手なのか(または何もしない相手なのか)をしっかり見極めているようです。何度も言いますが、脳みそが小さいのではなく、眼球を大きく発達させた(相対的に脳みそが小さく見えてしまう)のです。他にも、「ぐぅ」と短く鳴いて逃げていく相手(職員)もいることが最近わかりました。以前は、その職員がダチョウ舎の前を通ると寄ってきていたのに、最近は鳴いて逃げていくようになったとのこと。まだまだ私の知らないクランキーの一面がありそうです。
(横山)



