285号(2026年04月)7ページ
レッサーパンダの恋の季節
レッサーパンダの繁殖期は1月から3月頃です。繁殖期に縄張りを広げてオスとメスが出合います。野性と同じように動物園でも基本は単独で飼育をしていて、繫殖期のみペアリングする個体を同居させます。
当園では昨年、和♂とニコ♀をペアリングして3回目の繁殖成功となりました。この2頭はとても相性がいいペアです。昨年1月から同居し、2月に2回交尾をしました。オスは交尾をした後は特にやることがないので、和は繫殖期が終わるとのんびりと1頭で過ごす生活に戻りました。メスはワンオペで出産と子育てを行うので、ニコは7月にななこ♀を出産した後も現在まで育てています。
ななこはすくすくと成長し、2月7日現在、生後7か月になりました。生まれた時は195gだった体重は、4.2kgにまで大きくなりました。ニコの体重は5.8kgほどのため、ニコのほうが大きいのですが、子どもの毛は大人よりフワフワしているので同じくらいの大きさに見えます。来園された方に、どっちが子どもかな?とよく言われています。母と仔で過ごす期間は短く、生後半年~1年ほどで独り立ちします。ニコとななこはワチャワチャ遊んでいる仲良し親子なので、生後1年くらいまで一緒に過ごさせてあげたいと思っています。
ニコは子育て中ですが、今年も繁殖期がやってきました。オスは自分の子孫を残すため、子育て中のメスにもアピールします。和は隣の放飼場にいるニコに向かって必死に「キュルルルル」と恋鳴きをしていますが、まだ子育てをしたいニコには無視されています。娘のななこのことは恐らく自分の仔だという認識はないため、この小さいヤツは誰だ⁈と言わんばかりに柵の隙間から出てきたななこのしっぽを齧ろうとしたりしています。ニコのことが大好きな和には悪いのですが、残念ながら今年はこの2頭のペアリングは行いません…。母と娘の仲睦まじい姿は今だけしか見ることができないので、是非ななこが独り立ちする前に見に来てください。
さて、今年は守守♂とえみ♀を初めてペアリングさせることになりました。えみは2歳で、大人になったばかりのおてんばガールです。怖がりなのに慣れるとグイグイ行くタイプ、遊びたい盛りで走り回ったり跳ねたりと元気いっぱいです。相手の守守は8歳、落ち着いた年齢のイケオジ?です。眉毛のような白い模様がキリッと吊り上がっていて、とてもカッコいい顔立ちをしていますが、ちょっぴり運動神経が悪く、いつも一生懸命な姿がとても可愛らしいです。一昨年と昨年は、守守はホーマー♀とペアリングをしていましたが、姉さん女房のホーマーは守守には全く興味がない様子でした。守守がホーマーに近づきすぎて怒られる→側溝の中でしょんぼりする、という感じで繁殖には至りませんでした。実はそんな2頭の隣の放飼場で、えみはまだ幼いながらも守守に向かって恋鳴きをしていました。守守は特に反応していませんでしたが、その様子から今年は期待が持てるペアリングになりました。今回は12月に守守がレッサーパンダ館から飼育棟に引っ越し、柵越しのお見合いをスタートしました。まだ繁殖期に入る前だったので、少しえみが気にしているかな?といった感じで、特に何も起こりませんでした。相性が悪いと、この時点でケンカをすることもあるので一安心です。
いよいよ1月から同居スタートです。えみはスイッチが入ると、テンション爆上げで飼育員に突撃したり、踏み台にしてジャンプして転がったりと、かなり激しく遊びます。そのため飼育員の予想では、えみがテンション高く守守に突撃して、うんざりされちゃうのでは?と心配していました。しかし実際に同居させてみると、えみは守守を気にして近づいてみますが、ちょっと守守が嫌がるそぶりを見せると、すぐに離れて遠くから守守を見つめて恋鳴きしていました。なんて健気なんでしょう⁈そんなえみに対して守守は塩対応。なんだか迷惑そうな顔をしている気がします。お互いたまに威嚇することもありますが、相性は悪くないのでこのまま同居を継続中です。
2月に入り繁殖期も大詰めになってきましたが、今の所2頭の関係はあまり変化がありません…。しかし、もしかしたら強い発情が来た時だけ、頑張ってくれるかもしれません。守守はホーマーとのペアリングの時より余裕があり、堂々としていて大人の余裕を醸し出している気がするので、今後に期待です!この記事が発行される3月は、まだ繫殖期の最中です。2頭の関係がどうなっているか、お楽しみに。
(江林)



