でっきぶらし(News Paper)

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283号(2025年09月)6ページ

「スーパーおばあちゃん」

小型サル舎のいちばん奥、いつも「かわいい~!」というお客様の声が聞こえてくるのが、リスザルの展示場です。リスザルは動きが素早くなかなかじっとしていてくれないので、お客様から見るとあまり1頭ずつの見分けがつかないかもしれませんが、実はそれぞれ尻尾の長さが違ったり、顔の毛の黒い部分が違ったり、顔つきも全然違います。現在いちばん年上なのは、2002年に来園した「ルパン3」と「ツバサ」です。正確な生年月日がわからないのですが、来園時すでに推定2~3歳のおとなだったため、2025年現在は25歳以上になっているはずです。リスザルの寿命は飼育下でも20年ほどといわれているので、2頭ともかなりのおばあちゃんになります。

こんな話を実は5年ほど前、小型サルを担当していた時にガイドなどでよくお話ししていました。その後担当替えがありしばらくリスザル舎に入ることもなかったのですが、この4月にまた小型サル担当に戻ることになり、数年ぶりにリスザル舎に入ってびっくり。「ルパンとツバサがまだ生きてる…!」人間でいうとゆうに100歳は超えているくらいの年齢のはずですがまだまだ元気そうで、動物の生命力の強さにあらためて感動しました。

以前担当していたときは10頭ほどいたリスザルですが、オスが亡くなり繁殖ができなくなったため頭数は減る一方で、現在はメスだけの6頭になっています。そのうち4頭はツバサの家族です。ツバサは子だくさんのお母さんで、来園してから5頭の子どもを産み育ててきました。子育てが上手で、ほかのお母さんが産んだ赤ちゃんを預かって(もしくは誘拐して?!)背中に乗せていたこともあります。現在も一緒に暮らしている子どもたちは「アサ」、「ヨル」、「アカ」と、ヨルが産んだ「キイロ」です。そして血縁はありませんが、ツバサと一緒に来園したルパン3も群れの一員として仲良く暮らしています。

ちなみにルパン3という名前はもっと前の飼育員がつけたもので、その頃いた3頭の「ル〇ンっぽい顔」のリスザルにルパン1、ルパン2、ルパン3と名付けたそうです。その頃はその話を聞いて納得して、ル〇ン顔として個体識別していたのですが、よく考えると「ル〇ン顔ってなんやねん」と思います。

ツバサは若いころから肝が据わっており、以前は掃除中などによく飼育員の肩に乗ってきていたずらをしていました。しかし最近はほとんど肩に乗ることもなく、いたずらっ子魂は子どもや孫に引き継いで引退かな、やっぱりツバサも年をとったんだな…なんて少しさみしく思っていました。ところが先日イベントの時にお客様の前で特別なおやつを与えようとすると、ほかのサルたちをおしのけて私の肩に乗ってきて、特等席でブドウやスイカをたらふく食べていました。どうやら引退というわけではなく、エサの時だけ乗るという効率重視になっただけのようです。ひさしぶりにツバサの重さを肩に感じながら、これからも元気に過ごしてほしいなと思いました。

生まれたての動物の赤ちゃんも可愛くて良いものですが、スーパーおばあちゃんやおじいちゃんたちにもぜひ注目していただけたら嬉しいです。                          

(川合)

    

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