でっきぶらし(News Paper)

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283号(2025年09月)3ページ

「発見!珍獣オオアリクイ!」

今年の4月からオオアリクイの担当になって早4か月。今までいろいろな動物を担当してきましたが、その中でもオオアリクイほど「珍獣」という言葉がぴったりの動物はいません。今回はそんなオオアリクイの魅力を少しだけ紹介していきます。

オオアリクイ(以下アリクイ)は名前のとおり、野生下では主にアリ類を食べて生活しています。アリほどの小さい昆虫を食べるためにアリクイには二つの「とっておき」があります。そのとっておきとは…

☆とっておきその1 前肢の大きなかぎ爪
アリクイの前肢には大きなかぎ爪があります。アリが生息するアリ塚はとても硬く、人間が鍬で叩いても壊すのに一苦労。しかしアリクイはその丈夫な太い前肢とかぎ爪を使って簡単にアリ塚を壊すことができます。アリ塚を壊した後はとっておきその2の出番。

☆とっておきその2 驚くほど長い舌
アリクイは舌の長さが60cmほどあり、とても細長くしなやかなつくりとなっています。まるでヘビのようです。この舌を使って壊したアリ塚からアリをなめとって食べることができます。また舌にはねばねばする唾液がついていてアリを逃しません。

アリクイにとってアリ塚を前足で壊す、またアリを舐めとるといった行動は野生では当たり前となっています。しかし動物園だとそうはいきません。舐めることに関しては動物園で作る餌(肉やペレットなどを使用したペースト状のもの)を舐めて食べるので見ることができます。ただもう一方のかぎ爪を使った行動はアリ塚を用意するのが難しいため中々見ることができません。それでもアリクイの「とっておき」が見ることができないのはもったいない。そう思っていた時、ふと良いアイデアが浮かびました。それは運動場にたくさんの朽木を用意すること。なぜかというと、自分がある日作業をするため山に入ったとき、その辺に転がっている朽木の中にアリが巣をつくっている光景を思い出したからです。これを運動場にいれたら朽木を壊してアリを探してくれるんじゃないかと思いました。それから園内でたくさんの朽木を探してアリクイの運動場へ入れました。

結果は自分が予想したとおり、朽木の中のアリやその痕跡を探すためにかぎ爪を使って朽木の表面をバキバキと壊して中の匂いを嗅いではアリを探し、アリを舐めて食べている様子も見ることができました。ただ1日経つとアリはすっからかんに…。そこはさすがアリクイ!今度はアリがいなくなる前にたくさん用意してあげるという新しい宿題をアリクイたちからもらいました。

これからもアリクイたちの魅力発信のために工夫していきます。この記事でアリクイに興味を持ったそこのあなた、ぜひアリクイ舎へ。 

(片野)

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