282号(2025年06月)5ページ
飼育員vsカラス〜カピバラを添えて〜

今年度からカピバラの飼育員となり、順調に過ごす日々の中で、一つだけ頭を悩ませる問題があります。そう、それはカラス。カピバラたちのために用意したペレットや果物を、飼育員が少し目を離した隙に颯爽と奪っていきます。 見つけ次第なるべく追い払うようにはしてますがなかなか手が回らないのが現実…。しかしこのままではカピバラがペレットを食べられないのでどうにかしなければ!
そうして飼育員とカラスの火花を散らす戦いが始まったのです。
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第一試合『CD』
カラスよけのド定番とも言えるCD。よく、畑でキラキラと光る姿を目にしますよね。強い光を嫌うと言われているカラスにはこのキラキラが効果的、との事です。また、比較的簡単に用意できるので飼育員はすぐにウキウキとCDを設置しました。
さぁこれで安心だとペレットを置くと途端に集まってくるカピバラたちとカラス……。カラス?!キラキラ光るCDもなんのその、「あ、貰っていきますね笑」と、まるでからかうよう、驚く飼育員をよそ目にペレットを2,3粒咥えたカラスは飛び去っていきました。CDを取り付けたわずか3分程の出来事です。流石カラス。こんな小手先の対策など痛くもかゆくも無いようです。そこに残ったのは、少しだけ明るくなったカピバラ展示場と一瞬の出来事に動揺する飼育員だけでした。
第一試合、呆気なく敗北です。
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第二試合『手作りカラス』
負けたままでは終われません。飼育員は早速次の手を考えました。どうやら賢いカラスは仲間が危ない目に合っていると、その場所を危険だと学習するそうです。なので手作りカラスを死体に見せかけてその効果を試そうと思いました。しかし多少の不器用さに自覚のある飼育員。出来上がったのは、遠目で見たらカラスかも…と近くで見ると偽物だと即バレてしまう代物でした。
でも試さないのも勿体ない!明日の朝、早速カピバラ展示場に吊るすべく、その日は偽カラスを棚の上に置き、意気揚々と帰宅しました。
翌朝、ヤギ担当飼育員の証言です。「さっきカラスがその偽カラスつついてからリンゴ取ってったよ」
第二試合、始まる前に敗北です。
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…記事をお読みの皆さん。なにか良いカラスよけの方法を知っていましたら、是非、カピバラ担当の飼育員までお声掛けください。
(大胡)