でっきぶらし(News Paper)

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282号(2025年06月)4ページ

アフリカタテガミヤマアラシについてお話します。

ヤマアラシの仲間はアフリカやアジアに分布するヤマアラシ科に属するものと、南北アメリカに分布しているアメリカヤマアラシ科に属しているものが知られていますが、アフリカタテガミヤマアラシはヤマアラシ科に属しています。アフリカの砂漠地帯を除く様々な地域に分布していてイタリアなどの地中海沿岸部にも分布しています。生息環境は様々で、森林地帯のほかサバンナや乾燥した岩地などにも生息していて、2000mを超える高地にも姿を見せることがあります。体色は特徴のある黒白のまだら模様で、体の針は毛が変化したものでこの針は硬くて抜けやすいです。アフリカタテガミヤマアラシの名前の由来は針が額から体にかけてタテガミのようになって生えていることから名づけられました。尾の針は空洞状になっていて、危険が迫った時などに尾を振って音を出し、仲間に知らせたり相手を威嚇したりします。これで相手(ライオンやヒョウ、ハイエナ)+飼育員?がひるまない時は、針になった毛を逆立てて、突然後ろ向きになって突進します。この攻撃方法は天敵に対して効果的で、針の攻撃は相手にとって致命的となることもあります。夜行性で、昼間は地面に掘った巣穴などで休みます。巣穴は自分で掘ったり、洞穴や岩穴の他、ツチブタが掘った穴を利用することもあります。嗅覚は優れていて、目はつぶらですが視力はよくないです。

日本平動物園では以前は夜行性動物館という施設の中で生活していましたが手狭になり、現在はしばらく空き獣舎となっていた旧ダチョウ舎に昨年引っ越しました。今までより比べ物にならないほど広く快適に過ごしています。じっとしている時は見つけにくいかもしれませんが、2頭で走り回ったり、共同作業で穴掘りを夢中にしている姿はとても愛くるしいです。夢中になりすぎてかなり大きく深い穴を掘られた時は大丈夫か心配になります。掘られた穴はちゃんと後で埋め戻しますが、次の日にはまた同じ状態に戻ります。これを繰り返していると嫌気がさすのでしょう。今度は他の場所を掘り返されます。動物と飼育員の終わりのない闘いが始まり結局いたちごっこと言う訳です。しかし、冒頭でも説明しましたが穴を掘ることはヤマアラシにとっていたって普通のことをしているだけ。埋め戻されて納得していないのはヤマアラシの方かもしれませんね。もっと飼育担当者も大人の対応をしないといけないのかもしれません。反省。

(佐野)

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