203号(2011年12月)6ページ
スポットガイドだより
≪9月18日 テンジクネズミ(モルモット)≫
皆さんは、モルモットと呼ばれる動物を御存知でしょうか?
「そんなの知ってるよ。当たり前だ。」 まあ、大半の方々はそうおっしゃると思います。けれども、テンジクネズミと言う名前はどうでしょうか?
実は、このテンジクネズミが、日本においての、俗にモルモットと呼ばれる動物の正式名称なのです。これは意外と知られてはいません。今回のZOOスポットガイドは、このテンジクネズミについて行いました。
時は九月十八日(日)。通常のスポットガイド開始時間の十三時三〇分からスタート。言わずと知れた残暑(と言うより猛暑)厳しい日でした。場所は、まだ施設も新しい「ふれあい動物園」の敷地の一角。テンジクネズミは、この、ふれあい動物園で普段、子供達を中心とした来園者の皆さんと「ふれあって」います。
前述しましたが、堪らなく暑い日で、その為極力参加してくださる来園者の皆さんはもちろん、テンジクネズミにも負担にならない様に、ガイド会場はロングタイプのテントの下に設けました。更に、今回は小さな動物の説明を行う事もあり、参加者の皆さんの目線を低くしていただく為に、何台ものベンチを移動させて程良く配置。日陰が涼しい会場になりました。
スタート前から待っていてくださった、何組もの親子連れの参加者の方々を前にして、担当者が詳しくテンジクネズミを解説。彼らがモルモットと呼ばれてしまうに至った経緯、誤解が誤解を生んだ末に世界各国で??な名称で呼ばれてしまっている歴史、そして日本で使用されているテンジクネズミと言う正式名称さえも誤解から生まれた??な名前である事等、おそらく一般の方々はまず御存知無い面白い内容の解説でした。
さて、このテンジクネズミ、「モルモット」と俗称されている様に、人類の医療の発達に大きな貢献をしてきました。人類と同じく、体内でビタミンCの合成が出来ない等、人類と良く似た要素を持っているからです(実は人類とテンジクネズミ以外の殆どの動物は、ビタミンCを体内合成出来ます)。
皆さんに知られていながら、本当の姿は全然知られていない動物「テンジクネズミ」。・・・・・・今回のZOOスポットガイドで、少しでも気の毒で無くなったら幸いです。
≪10月16日 アジアゾウ≫
十月十六日(日)。アジアゾウのZOOスポットガイドを開催しました。
今回のスポットガイド開始時間は、通常より十五分早い十三時十五分から開始です。その理由は、アジアゾウの調教風景を皆さんに御覧いただきたかったからです。当園には二頭の♀のアジアゾウが居り、それぞれダンボ(推定四十五歳)・シャンテイ(四十二歳)と名付けられていますが、この二頭、実は毎日の調教が欠かせません。
「調教」と聞くと一般の方々は、「芸」と連想する事がどうやら多い様ですが、当園のアジアゾウの調教は、私達飼育関係者の言葉で「馴致・馴致」の為に行っています。
馴致とは、簡単に御説明すれば「様々な動作を、人間の指令で動物に行わせるために、動物をならすこと」と言って良く、普通、調教と言う単語と合わせて「馴致・調教」と表現されます。これは確かに、各地の動物ショーで活躍している色々な動物達が受けている訓練と似たトレーニング概念ですが、ゾウのトレーニングがそれと大きく異なるのは、この馴致・調教が、ゾウ担当の人間とゾウの双方に「必要なもの」だと言う事です。
御承知の通り、ゾウは身体が物凄く大きいです。当たり前?です。しかし、だからこそ、それに関わる人間達は彼ら(当園の場合は彼女ら)が、こちらの意思にある程度従ってくれないと、日々の世話や健康管理が出来ません。ですから、例えばゾウの肢に異状が見られた時、普段から『この肢を上げなさい』等の馴致・調教を行っていれば、人間の方は比較的安全に異状の確認が出来、ゾウの方も早めに治療や状態の改善を得られるのです。
この、馴致・調教を、今回はスポットガイド開始時間を十五分早めて皆さんに御覧いただきました。担当者達の指示に良く従うゾウの姿に、皆さん感心しきりの様子で、時折り驚きの声を上げている方達の姿も見られました。その後、普段は関係者以外立ち入る事が出来ないゾウ舎を開放し、ガイド参加者の皆さんをゾウの寝室に誘導。日常、普通にゾウ達が食べている餌やゾウ舎内部の構造を見ていただきました。皆さん、ゾウの採食量の多さ(餌の多さ)に唖然とされ、更にゾウの寝室の檻部分に、「ある意外なもの」が使用されている事にも驚かれたスポットガイドになりました。
えっ?「ある意外なもの」って何か、ですか?身体が物凄く大きいアジアゾウが暮らす、当園のゾウ舎の檻部分は、何と、あの電車のレールで出来ているのです!!
ZOOスポットガイド班 長谷川 裕