60号(1987年11月)14ページ
動物園こぼればなし◎エッ!これが?
						私の担当は、ペンギン村。
   いつものように、朝食のアジをバケツに入れ、可愛いペンギン達の所へ行きました。バケツを、デッキブラシとホースに持ち替えて、プールの中をみると、楽しそうに泳いでいました。
「1,2,3・・・・11,12?」
「あれ?1羽おかしいなあ」
「1,2,3・・・・11,12」
   何度数えても12羽しかいません。まだ巣の中に入っているのかなと思い、巣穴を1つ1つ覗いて見るといました。
「なんだ、まだこんな所に入っていたのか」
  人によく馴れていて、ホースを咬んだり、ジャレて来ていたのが、どこか元気がありません。
「どうしたの、出て来てごらん」
 と言って、顔をよくよくみると、左の頬が腫れています。腫瘍?それとも膿瘍かなと思い獣医さんに連絡し、一緒にみてもらいました。
   ところが、今度は右の頬が腫れています。左から右に動いていたのです。
   とにかく、獣医室へ連れていってよく診ようと獣医室へ行き、麻酔をかけ、レントゲンを撮り、又開口器を使い、喉の奥を診たりしましたが、何も見えません。
   獣医さんが、切開しようかと準備を初めている時、口を開いて喉の入口を見ていると、何か異様な物が目に入りました。
「何か見えるよ。何かな」
「どう?ちょっとまって」
鉗子でつまみ出された物は、直径6m/m位の木の枝でした。
   体高50cm程のペンギンから40cm程の枝が出て来たのです。
(飼育課員   藤沢 誠)					

