飼育日誌

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【ブログ」ペンギン『シンタ♀』の青空抱卵


こんにちは。

最近ペンギン館で起きた少し困った出来事についてお話しします。

 

それは、シンタ(メス)が巣穴の外で産卵してしまったことです。


シンタと卵



そろそろシンタが卵を産むかなあと様子を見ていた頃に、シンタとペアのミール(オス)は、突然外からやってきたコスモに巣穴から追い出されてしまいました。2羽は屋根のない場所に移動し、そこでシンタが卵を産んでしまったのです。

 


カラスに卵を奪われる危険があるため、卵は擬卵(ニセモノの卵)に変えました。

カラスがペンギンの卵がおいしいと学習してしまうと他のペンギンの卵も狙われてしまうからです。

 

シンタは外での抱卵にとても緊張していて、ペアのミールと抱卵の交代もせず、毎日食べる餌の量も減ってしまいました。もともと緊張で食が細くなりがちな性格なのでそこに拍車がかかってしまったようです。

雨の日や強い日差しの日に外で抱卵するのは、さらに負担になると思い、特例として、木で作った巣箱を設置しました。

シンタは擬卵を巣箱へは移せないので、飼育員が卵とシンタを巣箱に移してみました。

しかし、繊細なシンタは新しい巣箱に移るのを嫌がり、卵を置いて出てきてしまったので、卵をシンタのもとに戻しました。

一方で、新しいものに対して柔軟な性格のミールは自らの意思ですぐに巣箱に入り、リラックスしながらシンタの様子を見守りはじめました。




ミールの様子を見ても、外より巣箱の中の方がペンギンにとっては居心地のよい空間のはずです。

ですが、本来なら産卵の数ヶ月前から巣穴に出入りし、安全を確かめてから産卵するはずなので、シンタが新しい巣箱をなかなか受け入れられない気持ちもわかります。

 

どうしたものかなあと思っていた矢先、それは起こりました。

外で産卵してから5日後のことです。

シンタが卵を転がして失くしてしまったんです。

 

日本平動物園のペンギン放飼場はなるべく自然界と同じようにするため、たいらな場所がほとんどありません。気を抜くと卵が転がっていってしまうため、それもシンタの緊張が解けなかった理由の一つだったと考えられます。

ずっとお腹と脚に力を入れていたと思うのですが、気が緩んでしまったのでしょう。

転がった卵は、偶然にも巣箱とガラスの間の隙間に入ってしまい、ペンギンでは取り出せない位置にありました。

抱卵を諦めていたシンタにもう一度、巣箱に入ったミールと擬卵を見せて、中に入ってもらったところ、今度は巣箱で抱卵し始めてくれました。




ペンギンは学習する生き物なので、一度失敗した前の場所への執着が薄くなったのだと思います。

また、ミールが毎日巣箱に入っていたのも警戒を解いた理由の一つかもしれません。

 
2羽は巣箱に出入りするようになって3日が経ち、シンタはミールと抱卵の交代ができるようになりました。以前の5倍以上の魚を食べる日もあり、餌を食べる気持ちの余裕も戻ってきたようです。




シンタがのびのびと生活し始めて本当によかったです。

 

2羽が落ち着いて行動できるよう、巣箱の中はお客様から見えないようにしていますが、ごはんの時間にはシンタかミールのどちらかがプールで魚を食べる姿がご覧いただけるかと思います。

 

最後に、、、




今回の戦犯であるコスモは、なんと2日でシンタとミールの巣穴に飽きて出ていきました。

まったく、お騒がせですね。

 

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