61号(1988年01月)6ページ
動物の食べ物 熱帯鳥類館「干潟の鳥」
チュウシャクシギ、タゲリ、ハマシギ等で代表されるコーナー。愛鳥家には、春を教えてくれる鳥としての記憶が強いのでは―。
今ここで与えられているのは、マイナフード、ドッグフード、オキアミ、ワカサギ、そしてミルウォーム、いずれも代用食かそれに近いものです。それらの餌で充分に健康に飼育できているのですから、たいしたものです。
で、何年か前のある日のことです。どこかの局のテレビ取材があり、食べているところを撮りたいからと“本物の餌”つまりゴカイなどが与えられたのです。ところが、待てども待てども知らんぷり、全く見向きもしなかったそうです。仕方がなく、いつもの餌が与えられると、バクバクバク、生き生きとした表情でついばんだそうです。
テレビ取材の目的が野性的な雰囲気をとらえるところにあったとしたなら、これは台なしです。全く骨折り損のくたびれ儲けもいいところだったでしょう。住めば都ならぬ、いつも食べているものが馳走といわんばかり。それにしても、嗜好というものは時と場所によって変わるものだ、ということを見事に証明してくれました。