273号(2023年08月)7ページ
動物と話そう
みなさんは動物の近くに行ったとき、周りに他のお客さんはいないのに「人の声が聞こえるな」と思ったことはありませんか?実はそれ飼育員と動物がおしゃべりしている声です。おしゃべりと言っても、動物たちが人の言葉で返しているわけではないからほとんど飼育員の独り言では…?いえいえ独り言ではないですよ。
用事はないけど名前を呼んでみたり、「おはよう」や「おやすみ」だったり、「今日は暑いね~」だったり、返事が返ってこないことは分かっていても、ついつい話しかけてしまいます。はたから見ると1人で喋っているように見えますが、こちらとしては動物たちとおしゃべり、会話しているつもりなのです。
インコやオウムのように「おはよう」と言って「おはよう」と返してくれる動物もいますが、そのような動物ばかりではありません。ですがまったく反応がないかというとそうでもありません。
顔を向けてくれる子もいれば、待っていたら近づいて来てくれる子もいます。話しかけられたのが分かったのか、視線を感じたからなのか、はたまたご飯を期待しているのか…。そればかりはその子にしか分かりませんが、ともあれ反応があるのは嬉しいものですね。
日々動物たちを見ていると、分かりやすいものではなくても、ちょっとした反応を見せてくれる子もいます。ピタッと動かなくなったり、横目でこちらを見ていたり、しれっと逃げたりなど同じ動物種でもその子なりの反応があり見ていて楽しいです。
もちろん反応がなかったとしてもめげる我々ではありません。動物たちが近くにいればいろいろ
な話題を振ってみます。と言っても反応してくれるまで話しかけ続けるというより、反応がなくてもかまわず話しかけるというほうが正しいでしょうか。
来園者のなかにも動物に話しかける方は多いようで、ふれあい動物園のアヒル舎を掃除していると、隣のインコ舎からインコたちに挨拶している声がよく聞こえてきます。しかしインコたちも気まぐれ…。いつも反応があるわけではないので、何度か話しかけて諦めていく来園者も少なくありません。ですが注目して見てみると声は出さずとも声以外で反応している…かもしれません。
動物園に遊びに来たときには、ぜひいろいろな動物に話しかけてみてください。ただ、大きい声で話しかけると動物もびっくりして会話どころではなくなってしまいますのでお気をつけくださいね。
そして飼育員と動物がなにか話していたら温かく見守ってください。
田村 夏帆