でっきぶらし(News Paper)

一覧へ戻る

« 80号の2ページへ80号の4ページへ »

80号(1991年03月)3ページ

昨年一年間にどのくらいの保護動物があったでしょうか?

 動物園の一角に動物病院があります。この建物の中には、園内で飼育されていて病気になったり、怪我をした動物達が入院しています。そして、新しく展示する前に検査する為に一時、収容されている動物達もいます。
 こういった展示動物の為の病院の役割のほかにもう一つ、大事な役割をこの建物の中で行なっています。それは、野生で怪我をしたり、衰弱をしたりした動物達を収容して、元気になったら再び野生にもどす仕事をしています。
 今回は、昨年度一年間にどのくらいの動物達がこの病院に収容されたか、お話してみたいと思います。
 さて、一年間にどのくらいの動物が収容されると思いますか?昨年度は、哺乳類が10種56頭、鳥類70種435点、合計66種491点の保護がありました。
 哺乳類の内訳をみてみますと、タヌキが群をぬいて一位の22頭。続いてコウモリが10頭、ハクビシンの9頭、キツネ、ニホンカモシカの4頭となっています。どんな状態で保護されてくるかといいますと、交通事故やドラバサミといったワナで怪我をしている場合、あるいは、幼く、親と離れてしまい衰弱している場合などがあります。
 次に鳥類についてみてみましょう。先ほどもお話しましたように、70種435点も保護されてきます。鳥の場合もどこかにぶつかって足や翼が折れてしまったり、巣からヒナがおちたといって持ちこまれてきます。内訳をみますと、次のグラフのようになります。
 一位のキジバトは一年中保護されており、繁殖が旺盛で年間を通じてヒナが収容されています。二位のツバメは、キジバトと違って渡り鳥ですから、四月から八月に集中して保護されています。この時期は他の鳥達の繁殖シーズンにもあたりますから、病院の中は、いろいろな鳥のヒナ達でにぎやかになります。ですから、この鳥への給餌で、猫の手も借りたい忙しさとなってきます。もし、この時期に時間があったら、病院に遊びに来ませんか?
 こうやって皆さんが保護して下さった動物達が全部野生に戻せたら一番いいのですが、なかなかそういうわけにはゆきません。特に鳥の場合、翼の骨折は致命的、飛べなくなった鳥は、野生では生きていけません。そうしたもので展示できるものは展示していますが…。昨年度保護したうちで、野生にもどしたり、展示した数は、哺乳類では21頭(全体の37.5パーセント)、鳥類では135羽(全体の31パーセント)でした。
 毎年毎年少しずつ保護される数がふえています。昔、そのまま放置されていたものが、皆さんのおかげで持ちこまれてくるようになったからと思います。また、開発が進んで山の奥深くまで林道がつくられた結果、交通事故に出会う野生動物が増えてきているとも考えられます。
 今後、こうした状態はもっと大きな問題となり、共存して行く方法を考えて行く必要があると思います。

« 80号の2ページへ80号の4ページへ »

一覧へ戻る

ページの先頭へ