でっきぶらし(News Paper)

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251号(2019年12月)4ページ

エサと動物と、時々新人

 皆さん、いかがお過ごしでしょうか。「飼料担当」の高橋と申します。大学卒業後、今年の4月から新人の飼育員となりました。実はでっきぶらし入稿も3度目なのですが、「あらかると」を担当するのは初めてです。どうぞお手柔らかに。ちなみに時々中型サル(マンドリルなど)のお世話もしております。

 さて、飼育員となって、もう半年。配属されてみれば、動物のお世話ではなくエサの管理を担当する「飼料担当」。「動物のために、お客様のために頑張るぞ!」なんて意気込んでいたものですから、もちろん拍子抜け。え、動物ちゃうんかい…。

 ところが飼料担当の仕事は奥深い!しかしなかなかにハード‼そんな少々(?)頼りない新人を頼れる先輩方がサポートしてくださり、なんとか日々をやりくりしております。先輩飼育員のすごさには毎日びっくりさせられております。仕事の手際、動物の知識、スケジュール管理、動物ガイドなどなど…。僕も早く追いつかねば!

 さあ、自分語りもほどほどに、飼料担当としてせっかくなので「エサ」の話を。「動物のエサって残飯なんでしょ?」なんておっしゃる方もいらっしゃいますが、もちろん違います。動物にはそれぞれ必要な栄養があり、それを過不足なく摂取しないと病気になります。たとえばサルの仲間はあまーいものを食べすぎると糖尿病になりますし、葉っぱを食べないと調子を崩すサルもいます。

 日本平動物園で飼育している動物の種類は約160種類。当然、献立も複雑になります。日々の献立を考える先輩方に拍手‼かっこいい‼

 さらに動物たちはヒトと一緒で、それぞれ好みが違います。「この子は青いリンゴしか食べません!」「この子達は週に1回ジュースを飲みます!」「この子達、来週誕生日なの!メロンを食べさせたい!」などなど…。日本平動物園にいる動物はおよそ700頭!なんとバラエティ豊かなことでしょう、しかし注文の多さは飼育員さんの愛の証!高橋、精一杯がんばっていきます!

 また、「エサ」はただ揃えればいいってものではありません。「保存」しなければいけません。え、冷蔵庫放り込んでおけばいいじゃん? いやあ、そうはいきません。梅雨の時期、ペレット(さまざまなエサを粉末状にして固めた、カ○リーメイトみたいなもの。)はカビますし、ブドウやバナナはどんどん腐ります。動物だって古いエサは食べたくありません。お腹ももちろん壊します。日々の管理が大事なのです。

 「大きさ」だって大事です。ただ与えるだけじゃダメです。例えば、ケンカするサル達には小さくカットしてあげれば、みんなエサ拾いに必死でケンカする暇なんかありません。歯がない動物はエサをドロドロにしてあげる必要があります。動物の特徴や性格に詳しくないといけません。

 皆さんが動物園に来た時は、ぜひ「エサ」にも注目してみてください。そこには動物園の長い歴史が積み上げてきた知識や経験、飼育員や獣医の苦労が詰まっているのです。

(髙橋 勇太)

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