でっきぶらし(News Paper)

一覧へ戻る

« 215号の7ページへ

215号(2013年12月)8ページ

スポットガイドだより No2

《10月27日 オランウータン》

 10月27日(日)・13:30に、オランウータンのスポットガイドを開催しました。
 場所は、今年の4月2日に新設オープンしたばかりのオランウータン館。近年当園で、次々と建設されている新獣舎の一つです。以前、オランウータンが居た施設よりも格段に広く、しかも様々な方向から彼らを観覧できる様に設計された、充実した施設だと思います。
 実は、今回のスポットガイドは、本来ならば10月20日(日)に開催する予定でしたが、御存知の通りまたしても(ブチハイエナの章でお話ししましたが)20日は雨天による悪天候の為にスポットガイドの開催が出来なかったので、止むなく、27日に開催を順延した形になりました。今年は、これも皆さん御承知でしょうが、もうメチャクチャと言って良い、天候の変動や急変があった年なので、私達スポットガイド班も何度も途方に暮れました(天気が悪い時、アウトドア系の場所でのスポットガイドは、実は当日の午前中ギリギリまでに開催出来るか出来ないかを決定しなければなりません。ですから、スポットガイドを順延する場合、事実上、開催予定時間の数時間前に急遽、他の日に順延する形になってしまいます)。本当に、これ程、天気図や空模様を気にした年はありません。
 さて、今回のスポットガイド、この頃、飼育員としてかなり脂がのってきた男性飼育員が行いました(もう中堅ですね!)。色々なパネルを用いたとても面白いガイドで、参加した皆さんも熱心に耳を傾けてくださいました。
 オランウータン。彼らは現在2系統が存在すると言われています。それは、ボルネオオランウータンとスマトラオランウータンです。以前はこの2系統は同一の系統と考えられていましたが、微妙な差異が沢山指摘されて再考した結果、今では2系統に分けられました(ちなみに当園のオランウータンはボルネオオランウータンです)。
 彼らは非常に特徴的な動物です。樹上性であり(樹がたくさん生えた、一般的に熱帯のジャングルと呼ばれる地域に生息しています)、事実上、現在の地球上で最大の樹上性動物です。前肢(腕)が後肢(足)より2倍も長く、股関節に靭帯が存在しない為、信じられない角度や方向に後肢を向けたり捻ったり、開いたり出来ます。これはつまり、彼らが樹に登ったり降りたり樹から樹へ移動するのに最適な身体になっている…要するに、周囲の環境に対して理想的な適応をしている事を意味しています。ですから、オランウータンはいわゆるジャングルが存在しなければ自然界で生きていく事が出来ません。そして、もうかなり以前から、例によって人類が様々な理由で行ってきた(現在進行形の話でもありますが)環境破壊によりジャングルがどんどん失われ、同時に彼らの生息数も激減しています。もちろん現在では手 厚く保護されていますが、それでもじりじりと、その数は減り続けています。
 マレー語で【森の人】を意味するオランウータン。絶滅危惧種。
 彼らが、人類の手によって滅びて行った他の生命達の様に、半ば伝説の存在にならない事を、心から願ってやみません。 

ZOOスポットガイド班長 長谷川 裕

« 215号の7ページへ

一覧へ戻る

ページの先頭へ