でっきぶらし(News Paper)

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213号(2013年08月)2ページ

祝 グランドオープン!その2(フライングメガドーム、は虫類館)

 平成23年オープンの「フライングメガドーム」は、「羽ばたく鳥たちを観たい」をコンセプトに造られた施設です。園内には池が2つあり、通称「上の池」、「下の池」と呼んでいますが、この「下の池」をそのまま生かし、巨大なケージで池全体を覆ってしまいました。このウォークイン型の金属製フライングケージは、国内最大規模の鳥類展示施設です。
 しかし、この巨大施設を造るにあたっては、問題もありました。広すぎて鳥たちの捕獲が容易にできないため、健康管理や繁殖管理、また個体識別のための足環を付けることも難しいからです。ケージ自体の縮小案もいろいろ出ましたが、結局、話し合いの中で、今までの様にただ木に止まっているだけではなく、自然の中を自由に飛び回っている鳥たちを観たいという思いを優先しました。
 現在、展示している動物は、フラミンゴ、モモイロペリカンなどの大型鳥類を始め、トキ、カモ、アジサシなど、16種220羽の鳥類と、昔からの島の住民、ジェフロイクモザルです。池の中心に向けて設置したウッドデッキや東屋からは、鳥たちが頭上を羽ばたく姿が観察できます。また、出入口の反対側の高い位置には、トキ類など高い樹木に止り営巣する鳥たちに気づかれずに観察できる観察小屋もあります。
建設工事では、数多くの高く茂った樹木を伐採しなければなりませんでした。そのため、オープン当時は、土の地肌がむき出しの状態で、営巣のための木や草が育ち、鳥たちが十分に環境に慣れるまで、何年もかかるかも知れないと予想していました。しかし、自然の力はすごいものです。木や草はぐんぐん伸び、鳥たちもこの広々とした自然環境に早く馴染み、飼育員の営巣地造りの努力と相まって、比較的繁殖しやすいカルガモやオシドリなどのカモ類だけでなく、昨年は、ショウジョウトキ2羽、クロトキ2羽、今年は、インカアジサシ3羽も繁殖しています。
 ほとんどの鳥たちは、旧のフライングケージから引っ越してきましたが、インカアジサシは新しく加わった仲間です。カモメ科に属するアジサシは、常に飛び回っているため、この「フライングメガドーム」には、欠かせない鳥です。水中にいる魚に狙いをつけダイビングして捕える鳥で、短時間ならホバリングすることもできます。この習性を利用して、イベントも行っています。不定期ですが、午後3時からはインカアジサシの餌のフライングキャッチを、実際に魚を投げて体験することもできます。開催時の園内放送を聞き逃さないでください。
そして、ぜひ、この自然豊かな池の真ん中で、さまざまな鳥たちの飛び方を間近に観て、羽音を感じてください。

 同時オープンの「は虫類館」は、「爬虫類の神秘を覗いてみよう」をコンセプトに、生息地域(温帯・熱帯雨林、草原・乾燥帯、水辺水中、日本産)を4つのゾーンに分け、ヘビ、トカゲ、カメ類などの形態学的な比較展示を取り入れています。
 おすすめは、まず約6.5mと国内最大のオオアナコンダです。しかし、このヘビ、来園した当初、3カ月近くまったく餌を食べませんでした。来園したばかりの飼育下では、まず採食が確認できないと心配です。餌の種類を変えたり、水温・室温の条件を変えながら、3カ月ほど経った頃、ようやく餌を食べた時は本当にホッとしました。オオアナコンダは、一生の大部分を水中で暮らします。水面から目と鼻だけを出し獲物を待ち伏せ、水を飲みに来る動物や水面を泳ぐ水鳥を捕食しています。この習性を活かし、水中にいる姿をガラス過ごしに下から見上げる展示を造りました。普段は、滅多に観ることができないお腹側の鱗をじっくりと観察してください。
 また、日光のよく差し込む回廊のような作りのリクガメ舎は子供たちにも人気です。下段にゾウガメ、ケヅメリクガメなどの大型の陸ガメを、上段の回廊にはホウシャガメ、ヒョウモンガメなどの小型の陸ガメを展示しています。特に、この小型の陸ガメたちは、よく歩き回っていて、餌の野菜などを食べる様子をガラス越しにすぐ間近に見ることができます。実は、この回廊の斜面には、陸ガメが動かなかった場合を考えての仕掛けがあります。4隅に白熱灯を付けてあり、より暖かく居心地の良い空間を作ることができます。この白熱灯のスイッチの入り切りにより、陸ガメを誘導しようという試みでした。しかし、この誘導なしでも、よく動き回ってくれるヒョウモンガメがいるのが、うれしい誤算でした。
 は虫類館では、それぞれの個体の「形」や「色」また「大きさ」などを比較しながら、様々な環境に適応し、静かにじっと生きる爬虫類や両生類たちの「神秘」を感じてください。

飼育担当 柿島 安博

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