でっきぶらし(News Paper)

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198号(2011年02月)3ページ

「ジャンプ・ジャンプ・ジャンプ」

 猛獣館299がオープンしてもうじき1年が経ちます。おかげさまで動物たちや飼育担当者も新しい獣舎や施設になんとか慣れてきました。
 猛獣館3階の住人であるピューマの行動にも変化が見られてきましたので、そのお話をしたいと思います。ピューマの展示場は北米の荒涼とした山岳地帯(ザイオン国立公園)をイメージし、岩壁に岩棚が何段も配置した構造となっています。ピューマが岩壁の上段部(高さ約4m)に行くには、いくつかの岩棚をジャンプしないとたどりつけないようにわざと造ってあります。これは、ピューマの優れたジャンプ力を見てもらう目的でそのようになっているのです。
 オスの「リンカーン」は、初めて展示場に出した瞬間から難なく、いとも簡単に岩棚をジャンプしてかけあがりました。しかし、メスの「エリザベス」は、警戒心が強い性格からか、岩壁の上段部に登ることはほとんどありませんでした。
 リンカーンは朝、寝室から出るとすぐに岩壁上部にジャンプして上り、自分のテリトリー(縄張り)を見回りします。エリザベスは、その様子を下からずーっと眼で追う日々が続いていました。設計から携わった担当としては、もしかしてこの展示場をエリザベスが気に入っておらず、落ち着かない環境なのかと思い悩む日もありました。
 しかし、オープンから半年が経った10月初旬頃より短時間ですが、岩壁の上段へも徐々に上がるようになりました。11月に入ると岩壁上段の陽の当たる所で日向ぼっこしながら昼寝もするようになり、やっと慣れてきてくれたかとホッとしました。
 でも、欲張りな担当者としては、ピューマの優れたジャンプ力を見て「スゴイなぁ、ステキだなぁ」と思って、もっとピューマのことを知ってもらい好きになってくれたらという思いから、不定期ですが「ピューマのジャンプ」のガイドを行うことにしました。これは、展示場の天井フェンスから餌の肉片を各岩棚に落として誘導させ、岩棚と岩棚の間を空中ジャンプさせるといったちょっとしたイベントとなっています。
 ピューマたちは、初めはややおぼつかない感じでのジャンプでしたが、今では要領を覚えたようで、担当者が肉片を落とす前にジャンプをしてくれたり動きは上々です。そのジャンプ姿は、某有名スポーツメーカーのロゴマークそっくりで、その「美しく、力強い」シルエットは見ている者を魅了します。ご来園の際は是非ご覧下さいませ。きっとピューマのことが好きになると思いますヨ!!

飼育担当 花崎 貴行

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