でっきぶらし(News Paper)

一覧へ戻る

192号の2ページへ »

192号(2010年02月)1ページ

寅・虎・トラ

平成22年は寅年です。「寅」は十二支の三番目にあたります。「寅」の字は春が来て草木が生ずる状態を表しているといいます。十二支はもともと昔、中国で日付を記録するのに使われていました。

他に時刻や方角を表すのにも使われています。

私たちになじみの深い、ネズミから始まってイノシシに終わる「干支(えと)」はこの十二支の文字に動物を割り当てたものです。

なぜ十二支に動物の名前を組み合わせたかというと、人々が暦を覚えやすくするためだそうで、ふつう動物のトラを漢字で書くときは皆さんご存知のとおり「虎」の字を使いますね。

日本語で学術的に動物の名前を表記するときはカタカナを使います。

毎年お正月になると全国の動物園や水族館では、干支(えと)の動物やその仲間の動物がクローズアップされます。お客さんたちもそれを見るのを楽しみに動物園に足を運んでくださいます。

しかし平成22年のお正月、日本平動物園では残念ながらトラの姿が見られませんでした。お正月休みに来園のお客さんから「トラはいないのですか?」と聞かれて、動物園のスタッフは申し訳なく思ったものです。

日本平動物園には本当は2頭のトラ、オスの「トシ」とメスの「ナナ」がいます。しかし、新しい展示施設である猛獣館を建設するため、大型食肉獣の飼育施設を取り壊しました。工事中、園内にトラを収容しておくスペースがなかったので、他の動物園に預ってもらうことになったのです。2頭のトラは平成20年6月から南紀白浜のアドベンチャーワールドのお世話になっています。

寅年のお正月にトラがいないちょっと寂しい年の初めでしたが、お正月期間中には本物のトラのピンチヒッターとして園内に実物大トラの写真パネルが展示され、その写真の前で記念撮影をするお客さんでにぎわいまいた。

野生のトラはかつてアジア大陸から東南アジア、インドの広い範囲に住んでいました。しかし生息環境の破壊や密猟などのため、20世紀初めには世界で10万頭いたと言われた生息数は、現在4,000頭前後に減ってしまいました。

トラは9亜種(うち3亜種は絶滅)分けられますが、日本平動物園のトラはそのうちのアムールトラ(シベリアトラ)で、トラのなかで一番大きくなる亜種です。野生では中国東北部からロシア沿海州が生息地ですが生息数はわずかです。

さて、園内で仮住まいを強いられている動物には、他にジャガーのアラシとキコ、ピューマのリンカーンとエリザベスがいます。ジャガーとピューマはもとのクマ舎を一部改造して仮獣舎にしました。

ジャガーやピューマはトラと同じネコの仲間の動物ですね。日本の干支にネコは入っていませんが、外国ではウサギの代わりにネコが入っているところがあるそうです。

新しくできあがる猛獣館にはこれらアムールトラ、ジャガー、ピューマのほかホッキョクグマ、ライオン、ゴマフアザラシ、シロフクロウ、ミーアキャットが入居します。

猛獣館はこれら動物の野生の習性を引き出し、生き生きとした姿を見ていただくために展示方法にも工夫をこらしています。動物たちをより近くで観察することができ躍動感あふれる動物たちの息づかいまで感じられることと思います。

そのほか館内では動く映像や写真パネル、模型などでそれぞれの動物たちの野生での生息状況や生態が紹介される予定です。

具体的にはどんな展示方法になるのでしょう?それは猛獣館のオープンまで楽しみにお待ちください。

そういえば、日本平動物園にはもう一頭トラがいました。正門前駐車場の一角にフェンスに囲まれて太いパイプのつながったちょっと変わった設備があります。これは下水施設の脱臭塔なのですが、そこにトラのイラストが描いてあるのです。皆さんお気づきだったでしょうか。

192号の2ページへ »

一覧へ戻る

ページの先頭へ