でっきぶらし(News Paper)

一覧へ戻る

« 112号の3ページへ112号の5ページへ »

112号(1996年07月)4ページ

動物を知る(?T)ゴリラは我らの仲間

 ゴリラが人を助けた!柵をのり越えて誤って放飼場に落ちてきた少年を抱えて、キーパーが出入りする扉のところまで連れて行ったというので、大変な話題を呼びテレビや新聞を賑わせました。
 昔に比べれば、ゴリラ本来の姿がずいぶん紹介されるようになり、誤解は薄れているように思います。が、彼らは顔に似合わず、非常に繊細な神経の持ち主であることはどこまで知られているでしょう。
 能弁より、きっちり実態を伝えるほうが賢明です。彼らの基本的な社会生活は単雄複雌、すなわち1頭のオスにだいたい3頭以上のメスとその子供達で成り立っている社会です。食べるものはほとんどが植物で、動物食はまれにアリ塚を壊してアリを食べているのが知られている程度です。
 植物食でどう猛はないでしょうし、彼ら同士のコミュニケーションは、ちょっと見ただけではわからない微妙な仕草で通じ合っています。それだけ細やかな気配りを持ち、かつ高度な知能を持っている、と解していいでしょう。
 ゴリラとは、そのような動物なのです。平和的で心穏やかな生き物なのです。誤って柵から落ちてきた少年を救うだけの判断能力を持っていても、それほど不思議ではありません。あの場合、少年を救ったメスゴリラが、幼少時にヒトと過ごした経験があったのも幸いしたのでしょう。
 ともあれ、アピール度では百点満点でした。動物園ファンを相手にいろいろ話すことがありますが、あくまで話としての面白さであって、今ひとつ“実際”を感じとってもらえないもどかしさが伴っていました。
 今回の出来事は、とにもかくにも論より証拠。頭がいいんだ、心優しい動物なんだと、わざわざ強調する必要性は何もありませんでした。ゴリラが少年を助けている、それがしっかり映像に映し出されたのですから。

« 112号の3ページへ112号の5ページへ »

一覧へ戻る

ページの先頭へ