でっきぶらし(News Paper)

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199号(2011年04月)3ページ

≪実習だより≫動物園で働く魅力

 私は9月24日〜9月26日まで3日間インターンシップさせていただき飼育員という仕事の魅力を改めて実感しました。それは私の担当になった松下さんという飼育員さんの「この仕事に就けて良かったよ。」という言葉からも伝わってきました。松下さんは40年以上動物園で働いているベテランの飼育員さんで、40年以上たった今でも飼育員という仕事を楽しんでおり、熱意と誇りを持って働いている姿を見て飼育員という仕事はやりがいがあるということがわかりました。
 またインターンシップではその飼育員としての動物との接し方、日常で気を付けている事、どんな知識が必要かなど様々な事を学びました。
 松下さんは動物についての知識が豊富なだけでなく、食べ物の栄養についても多くの知識があったことには驚きです。
 例えば果物には糖分が多く、あげすぎると糖尿病になってしまうため、主食には果物を選ばないようにしていました。またサツマイモは繊維が多く消化に良くないため、加熱してあげていました。
 松下さんが気を配っていたのはこのような栄養面だけではありません。餌をあげる時間と回数もしっかり考えていました。今回、シロサイ、ダチョウ、マレーバク、小型サルの担当だったのですが、その中でも小型サルには1日に4回餌をあげていたのです。なぜ1日に4回も分けてあげているのだろうと疑問に思いました。本来、野生の小型サルは木の実や樹液や昆虫を少しづつ食べます。したがって飼育下で一度に多く餌をあげてしまうよりも、できるだけ野生と同じように何回にも分けて餌をあげることでストレスを減らせると考えそのような餌のあげ方をしているそうです。
 また夜中ずっと食べられなく長い時間、空腹状態が続いているため、朝一番と帰る直前に餌をあげているそうです。同じように餌自体も野生と似た液状の物をあげていました。しかもその餌はただの餌ではありません。松下さんが経験上、小型サルがよく食べて、栄養バランスがよく、野生と同じ樹液に似た液状の餌になるように独自に開発した餌なのです。レシピはミルク、パン、卵黄、水をよく混ぜたもので、人間が食べても栄養満点でサルもおいしそうに食べていました。このように、餌のあげ方1つをとっても飼育員という仕事が、専門性と幅広い知識の両方を兼ね備えていなければ勤まらないことが分かります。
 私は東京農業大学に入り約2年半が経ち、動物を扱う研究室に入り動物と接する時間が増えました。しかし、今回のインターンシップをして、動物の扱い方がまだまだだな、知識が少な過ぎると感じさせられました。やはり現場で働いている飼育員さんの意識は高く、同じように動物を扱っている人として、社会人の先輩としても見習うところが多くありました。それと同時に、やはり動物は奥が深いく興味深い。自分の一生を捧げても分からないことだらけだと感じさせられました。そんな動物と毎日のように接することができる動物園の飼育員さんは私の憧れる職業だと改めて思いました。

東京農業大学3年 時田 真宏

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